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産学連携での共同開発事例

産学連携での共同開発事例

ロコモ測定機器(LHR100)の商品開発

 

 

「ロコモ認知度No1の宮崎県にて、

宮崎大学医学部・工学部と開発・製造メーカーである三和ニューテック()とで

共同開発したロコモ測定機器をご紹介」

 

コロナ禍以前から健康への関心が高まっている現代、コロナの影響により巣篭もり生活が長期化していく中で、運動不足を実感している人は多いのではないでしょうか?

運動不足と聞くとメタボやダイエットを連想しがちですが、高齢になるほど気をつけなければならないのは、歳と共に衰える代謝や筋肉量の低下が要因で起こる、立つ・歩くといった運動機能の低下です。

運動機能が低下している状態は、ロコモティブシンドローム(略称:ロコモ)と言い、このロコモが進行すると転倒による怪我や体の不調に繋がる要因になります。またロコモが進行すると要介護、要支援の状態になるリスクが高いとされています。

国の調査によると要支援・要介護の要因の約25%がこの運動器の障害と言われており、ロコモ予備軍にもなると4700万人にのぼると言われています。

 

ロコモ度判定方法と、ロコモ予防現場の課題と改善方法

対象者のロコモ度を測定する方法には、日本整形外科学会が推奨しているロコモ度を判定する3つのテストの立ち上がりテスト、2ステップテスト、ロコモ25アンケートがあります。

「立ち上がりテスト」では下肢筋力の程度を判定し、「2ステップテスト」では歩幅と一緒に下肢筋力やバランス能力や柔軟性を総合的に評価します。「ロコモ25アンケート」では1ヶ月間の体の痛みや日常生活での困難な事を25項目で回答し、0点~100点の総合点数からロコモ度を調べます。

臨床判定値でロコモ度を判定をするためには、これら3つの推奨テストの結果で評価しますが、テストを実施する際には体への負担を感じた場合にテストを中止する事や、必ず介助者の下でテストを行う事などの注意が促されています。

このために、ロコモ度を判定するには時間・場所・人手を確保する必要があり、ロコモ予防を周知する上での大きな課題と言えます。そこで、ロコモ予防の周知のためもっと簡便にかつ定量的にロコモ度を測定することを目的に開発されたのが、ロコモ測定機器(LHR-100)です。

 

 

①人的測定の誤差。定量的な測定ができる事。

ロコモ測定機器を利用することで、定量的な測定が可能に!

 

 

②対象者に身体的な負担がかかる。介助者の確保、測定時間の手間。体に負担をかけずに簡便に測定ができる事。
モーションキャプチャ(赤外線)のカメラ前を歩行するだけの簡単な測定方法を採用!

 

 

③アンケート方式は、主観的回答のため、判定結果の客観性に乏しい。一定精度の測定ができる事。
宮崎大学工学部の研究開発した独自アルゴリズムソフトの特許技術を使用!

ロコモ予防のため、定量的かつ簡単に測定する装置を開発

※東京ケアウィーク2020 介護テクノロジー出展用のLHR−100(ロコモ測定機器)紹介動画

 

「3m歩くだけで、歩行状態とロコモ点数(推定値)を測定するロコモ測定機器LHR-100を、
宮崎大学の医学部と工学部と三和ニューテックで共同開発。
測定対象者への気付きを促し、歩行機能低下の改善を意識づけするツールです。」

 

 

※ソフトは宮崎大学工学部の技術を使用

 

普段の歩行状態の「歩幅」「速度」「ひざ角度」を測定し、対象者の性別と年代(2059代、60代、70代、80代の4つの区分)を用いて、ロコモの推定値を算出できることが特徴です。歩行状態の3点は、下肢の運動機能に関連があるといわれている歩行速度、ロコモ患者と健常者で有意差が現れるといわれるひざ角度と、一緒に図れる歩幅とを、モーションキャプチャ(赤外線)を用いて測定。これに宮崎大学工学部が独自に開発した機械学習を使用したアルゴリズムを用いてロコモ点数(推定値)を算出しています。

三和ニューテックでは、宮崎大学工学部との共同開発していく中でモーションキャプチャ(赤外線)での情報抽出や機械学習を使用したアルゴリズム等の技術を組み込んだロコモ測定機器専用ソフトの開発を手掛けています。

 

 

ロコモ測定機器専用ソフトの表示画面とレシートイメージ

 

※図1

 

医療従事者でなくとも測定可能です。測定に必要な約4m四方のスペースへ図1の様に機器を設置することで、対象者の全身がカメラフレームに収まるようになっています。この状態で、対象者の氏名、年齢、性別の必要情報を事前に入力し、モーションキャプチャ(赤外線)のカメラ前に対象者を案内して、測定開始を操作すると音声案内が流れて対象者を誘導します。歩行終了後は自動で測定結果がレシート出力および画面に表示されます。

 

 

 

測定結果に応じたアフターケアとして運動機能の向上または維持するための運動メニューをご用意。歩き方の指導とロコモ予防の筋力トレーニングメニュー(宮崎大学医学部看護学科の監修)の指導ツールで、3つの歩行結果または、ロコモ点数で対象者の年代平均より結果が劣っていた場合に対応しています。

 

「ロコモ点数とは」ロコモ25アンケートの0点~100点での評価判定方法をロコモを示す客観的な基準としたもの。

ロコモ予防への取り組みと今後について

開発当初は、歩行とロコモの関係を探るために宮崎大学の工学部と協力して実験機を開発。その後、アルゴリズムの妥当性を検証するため、宮崎大学の医学部で実施の宮崎県のロコモ検診や健康増進イベントや市町村の健康フェスタの他、各学会・中小展示会への出展、企業企画のウォーキングイベントでの健康度測定会などに参加または出展し、これらの活動を通して、ロコモ予防に置ける市場ニーズの調査や対象者への予防促進効果のトライアンドエラーを実施し、最終的にロコモ測定機器(当時の歩行計測機器)の試作機を経て、量産に至ったのが下図の製品です。

本製品のデザインは、ロコモ予防の市場における、健康増進イベントや地域包括ケアの介護予防運動教室の効果測定やデイケア・デイサービスの効果測定などへの利用を想定し、対象者へ気軽に楽しく測定をしていただくために、試作機から採用されている木目を生かした筐体デザインのまま、実用性を考慮し、イベント会場への持ち運びを前提とした折りたたみ式の機構を採用したデザインです。

 

 

 

 

 

本製品開発を通したロコモ予防の活動に対して、宮崎県内産業の振興や地域経済の活性化に特に寄与していると認められる中小企業へ送られる「宮崎中小企業大賞」(2017年10月19日)受賞4社中の1社に選ばれており、また2020年6月16日には、九州地域の先導的な取組・活動の中から、需要づくり及び供給力の向上に貢献したモデル性の高い取組が選ばれる「第7回ヘルスケア産業づくり貢献大賞」特別賞を(九州ヘルスケア産業推進協議会(HAMIQ)主催)頂いております。

 

最後に

今後はロコモ予防と周知販促活動を通して見えてきた以下の市場のニーズを視野に、

現行機種(LHR-100)を2021年12月をもって廃盤とし、次機種の企画検討予定です。

ご興味のある団体や企業との共同開発も募集しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

 

●整形リハビリテーション市場の効果測定のニーズ

●病院・大学の研究分野市場のニーズ

●健康増進イベント市場のニーズ